師走
館長コラム
2019.12.02
令和元年12月号
師走
師走
今年も残すところ僅かになり慌ただしさを感じるこの頃です。十二月は師走といわれますが、平安末期の「色葉字類抄」によると、僧が経をあげるために東西を馳せる月という意味合いがあると言われます。今年の師走恒例の年末イベントは、宮沢賢治の短編童話「土神と狐」を臨場感あふれる絵と朗読、心温まる演奏でお届けします。美しい樺の木を巡る土神と狐の葛藤、好きな女性のために嘘をついてしまう狐と狐への嫉妬に苦しむ土神とが悲しい結末を迎えるまでを描く物語です。土神とは、古事記にある大土神(オオツチノカミ)、田地を守護する神で、またの名を土之御祖神(ツチノミオヤノカミ)と云われ、穀物の守護神大年神(オオトシノカミ)の御子神です。土神、狐、樺の木はそれぞれ親しみを込めた絵で表現されています。この絵物語のなかでは神様の厳かさ神秘さに加え人間味あふれる親しみ易さが感じられ、神様との繋がりの身近さを教えてくれているようにも思われます。師走の何かと気忙しいなかですがご来場をお待ちしています。
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